文学少女3

2巻の感想もまだ書いていないが、ここのところこちらを読み返しすぎたので一度まとめておく。
いつものごとく反転。今回は、妄想全開なので、なるべく隠しておいてください。


この巻で、ここまで生死が不明だった、美羽の事が明かされます。しかも最後の最後に。ここに来るまで芥川君の手紙の内容が、妙に流れにマッチしている様でマッチしておらず変な感じがしていた。この巻を最初に読んだときは、手紙の文面はほとんどとばし読みしていた。何となくだが、ここを読んでいなくても今回の話にはついて行けるだろうし、逆に内容を読んでいては混乱すると思ったのだ。ネタが最後に明かされた後で、読み返してみたのだが、芥川君の心情の吐露として聞くには、どうも薄い様な感じがした。そのあたりから、手紙が語りかけている相手である美羽の状況が気になってきて、彼女の心情を読み解こうとして再度読み通して少し、しっくりした気がする。
今回の芥川君の手紙というのは、心葉君からみたお花畑状態が、美羽にはどの様に写っていたか、それと彼女の取り巻く状況というものが、心葉の見えていない所でどの様に美羽を傷つけていたのかということを占めそうとしているものだと思えた。未だに心葉からみた美羽というものは大きな変化の末彼の前から去っていったというものの様だが、実のところ彼女の側から見える世界というものは、何も変化しておらず心葉の立ち位置というものが、彼女サイドから逆側に移っただけというものになるのだろう。

きっと作者の中で美羽を取り巻いていた世界の描写およびそれに対する美羽の感じ方に関しては確固としたものが出来ているのだろう。それは、飛び降りる以前、心葉とつきあっていた頃から存在していたものであり、多分心葉に対して笑顔で接していた頃も、彼女を取り巻く世界は厳しいものであったのだろう。その世界の具体的姿というものを考えれば、美羽の言う心葉にはきっとわからないんだろうねというものの意味が見えてくる。

愚者を繋ぐエピソードとして、芥川のエピソードは興味深いものだったが、それらが色あせるほど芥川の手紙の内容は、美羽の今を過去を表しており美羽の存在というものが具体化し出したという点でとても興味深い内容になっていた。
ここにほのかに描写されている美羽の状況に対して、芥川の様に恋愛感情というものを抱く所までは行かないが、心葉とのすれ違いを打破して、美羽が幸せになれる様祈りたい。勝手な思いこみなのだろうが、彼女は目指す道に対して難しい方向を間違って選んでしまい自ら不幸の道を転がって行っただけのように感じている。心葉の様に犬が尻尾を振るようなうれしさを率直に出せていれば、今の彼女の不幸というものは訪れなかったのではないだろうか。これは誰の道行きにも転がっている大きな罠であり、人はそのようなものにはまって大いに傷つくという事は良くある話であるが、それを乗り越えられるのも人の強さというものだと思える。心葉が美羽の今の世界観を観れば、きっと天に唾するような行動をとるのではなくこの世に満ちている愛について、3年経ったいま示せるものを示してくれることを祈りたい。
最後の方は希望という名の妄想を垂れ流しに書いているが、他愛のない妄想の類として笑って眺めてください。